玉藻前に化けた「九尾の狐」伝説

Japanese / 日本語

白面金毛九尾の狐(はくめん・こんもう・きゅうびのきつね)

九尾の狐の伝説は日本は日本以外にも
この話は中国、インド、ベトナム、朝鮮半島など広範囲に残っています。九尾の狐が絶世の美女に化けて、その時の権力者に取り入り悪行を働くというストーリーは各国共通です。マンガ「うしおととら」ではラスボス「白面の者」として登場。

九尾狐的传说不仅流传于日本。
这个故事流传的地区很广,包括中国、印度、越南和朝鲜半岛。 九尾狐伪装成美艳绝伦的女子,与当时的权势者勾结并犯下恶行的故事在所有国家都很常见。 在漫画《Ushio-to-Tora》中,她作为最后的老大 “白面人 “出现。

中国・殷 ~妲己として~
紀元前11世紀頃の中国・殷の時代。紂王は妲己(だっき)という美女に骨抜きにされてしまいます。この妲己の正体は齢千年を経た妖獣・九尾の狐で、王の妾を食い殺してその身体を乗っ取っていたのです。妲己は無実の人々を残虐に処刑して楽しんでいました。でも最後には周の武王に攻め滅ぼされ、紂王は自殺。妲己は囚われて首を斬られました。

インド・耶竭陀国 ~華陽婦人として復活~
殷の滅亡から約700年後、インド・耶竭陀(まがた)国の班足太子のそばに仕えた悪女・華陽婦人も九尾の狐が化けたものとされています。千人もの人の首を切らせるなどの虐殺を働きますが、ひょんなことからその正体がバレることに。ある時、班足太子が庭で見つけた狐を弓で射たことがきっかけで、華陽夫人は頭に傷ができて寝込んでしまいます。医者に見せたところ妖狐だということがバレてしまい、正体を現して北の空へと逃げていきました。

再び中国・周 ~褒姒として~
九尾の狐が化けた美女は、妲己のいた殷を滅ぼした周の国にも時を経て現れます。武王より12代後の幽王の時代、褒姒(ほうじ)という絶世の美女がいました。美しいのにニコリともしない褒姒。ある時、間違って上がった烽火(のろし)で諸侯が慌てて集まったのを見て、笑わないはずの褒姒が笑いました。幽王は褒姒の笑顔が見たいがために、有事でもないのに度々烽火を上げ諸侯を集めました。いよいよ本当に有事が起きた時には諸侯たちから見限られていて誰も集まらなく、幽王は命を落としたといわれています。オオカミ少年ですね。

次に狙いを定めたのは日本
時は流れ、今度は九尾の狐は16歳ほどの少女に化け、吉備真備(きびのまきび)が帰国する際の遣唐使船に同乗しに日本に着きます。

日本~玉藻前として~
九尾の狐は宮中に入り込み、鳥羽上皇に仕える女官となって玉藻前(たまものまえ)と呼ばれるようになります。そしてその美貌と博識から、次第に鳥羽上皇に寵愛されるようになりました。玉藻前を召してから鳥羽上皇は次第に顔色が悪くなり、臣下の言葉も聞き入れなくなっていきます。ですが時代は平安時代。困ったことがあれば陰陽師の登場です。陰陽師安倍泰成が玉藻前の仕業と見抜き、真言を唱えた事で玉藻前は九尾の狐の姿に戻り、行方を眩ましました。

九尾の狐は、安倍泰成に正体を見破られたあと今度は下野の国(今の栃木県)の那須野ヶ原に現れ、弓の名手の上総介広常(かずさのすけひろつね)と三浦介義純(みうらのすけよしずみ)が追い詰め矢を射かけたところ、巨大な石に化身し、毒を放ち近づく生きものを殺したといわれています。誰も近づかないまま時が流れ、後に村人からこの話を聞いた源翁(げんのう)和尚が経文を唱えたところ石は砕け三つに割れて飛び散りました。その一つでここに残ったものが那須の地の殺生石と伝えられています。

那須湯本に伝わる九尾の伝説とされる「殺生石」

コメント