文章の書き方(ラノベ・小説)

Japanese / 日本語

ネットにあるラノベや小説の書き方をまとめたもの

「主語がくどい」対策

【修正前】
AAAはにやりと笑った。
AAAはカードの山を持ち上げ、素早くシャッフルした。カードにまつわる全てがAAAの管理下にあると、AAAは万能感に浸った。
AAAは「狙ったカードは何でも出せる」と強く感じた。
AAAは大きく息を吸い、目の前の女を見据えてカードを広げた。

【修正後】
AAAはにやりと笑った。
AAAは)カードの山を持ち上げ、素早くシャッフルした。【主語省略】カードにまつわる全てが己の管理下にある万能感にあると、AAAは万能感に浸った【体言止め】
AAAは)「狙ったカードは何でも出せる」と強く感じた。【主語省略】
AAAは大きく息を吸い、目の前の女を見据えてカードを広げた。

※なおAAAは人の名前。今はまだ、文末が「た」オンリーなので修正後も少し不自然。

無生物主語で表現を多彩に

AAAは少し迷い、やがて真ん中から一枚抜き取った。
   ↓
細い指がしばし宙を迷い、やがて真ん中から一枚一枚抜き取った。

無生物主語で言い換える例
・自白を迫るように、田中が厳しい目つきで対象を見ている。
 →田中の鋭い視線が自白を迫る。
・AAAは昔聞いた悲鳴を忘れられず、苦しみ続けている。
 →鼓膜に貼りついた悲鳴がAAAを責め続ける。
・クリスマスの装飾がされた町を見ると、私は「恋人を作ろう」と言われた気分になる。
 →町中の赤と緑が「君も恋人を作ろう」とやかましく言い立てる。

「無生物主語」はもっとざっくり、ただ単に「主語が人間でない」という定義です。(例:「カイロが温かい」「白い手が頬を撫でる)

「思った」「感じた」「考えた」は要注意

地の文ってやろうと思えば「思った」「感じた」「考えた」をいくらでもかけちゃうんですね。(学校の作文もそうでしたね……) よって、なるべく「思った」「感じた」「考えた」は避けて、断定すると素人っぽさが抜けます。

【修正前】
 絶対に合格するんだと落田は思った。拳を握り、大学の敷地に足を踏み入れる。制服姿の奴らはみな受験者だろうと考えた。とたんに心細さを感じる

【修正後】
 ――絶対に合格するんだ!【言い切り】
 拳を握り、落田は大学の敷地に足を踏み入れる。制服姿の奴らはみな受験者に違いない。【言い切り】とたんに心細さが襲ってくる。【無生物主語】

【修正前】
(龍田は)「狙ったカードは何でも出せる」と強く感じた。

【修正後】
狙ったカードは何でも出せる。【言い切り】勝負師の勘がそう告げていた。【無生物主語】

「思った」「感じた」系がすべてダメなわけではありません。しかし多用しがちな傾向があるので、あえて言い切って断言すると、スパスパ小気味いい文になる。

文末表現

「た」で終わる「タ形」ばかりでだとちょっと違和感があります。適切に「ル形」の文末をまじらせる。
「タ形」は「~~た」(英語の過去形のような感じ)、「ル形」は「~~る」(英語の現在形のような感じ)という捉え方でざっくりOKです。「ル形」とは終止形のことなので、実は「泳ぐ/大きい/きれいだ」もル形です。

【修正前】
 龍田はにやりと笑った。
 カードの山を持ち上げ、素早くシャッフルした。カードにまつわる全てが己の管理下にある万能感。
 「狙ったカードは何でも出せる」と強く感じた。
 大きく息を吸い、目の前の女を見据えてカードを広げた。

【修正後】
 ――この勝負、負けられない。
 龍田はにやりと笑った。
 カードの山を持ち上げ、素早くシャッフルする。カードにまつわる全てが己の管理下にある万能感。
 狙ったカードは何でも出せる。勝負師の勘がそう告げていた。
 大きく息を吸い、目の前の女を見据えてカードを広げる。

全部ル形にする必要はありません。少し混ぜるだけでもいいし、交互でもOK。決まりはないので、自分が読んで気持ちよければOKです。また「た」以外にも形容詞の「~~い」や、否定形の「~~ない」を効果的に使えると、文末表現が多彩になります。地の文に直接心情を書いて、「~~だろう」「~~だな」「~~か?」とするのもいいですネ!多用は非推奨ですが、体言止めもありますネ。

終止形において、動詞の活用を利用する

先述の例では終止形の動詞が全て「る」で終わっていますが、終止形が「る」以外で終わる動詞も探すと結構あります。
ク 行く、研ぐ、凌ぐ
ス なす、付す、賭す
ツ 持つ、打つ、立つ
ヌ 死ぬ
フ 遊ぶ、飛ぶ、呼ぶ
ム 込む、踏む、富む
ウ 思う、笑う、集う

現在の文末表現を用いたいけれども「る」の連続は回避したい、という場合、類語辞典などを活用して「る」以外で終わる表現を探す。これだけでも文末は豊かになります。

【文末表現を散らすテクニックまとめ】
・動詞+「た」(タ形)および終止形(ル形)の両方を用いる
・終止形が「~る」以外の動詞も用いる
・形容詞「~い」(=イ形容詞)を用いる
・打消の助動詞「~ない」を用いる
・「~だろう」「~だな」(=モダリティ表現・終助詞)を用いる

受身文と能動文の使い分け

【全て能動で書いた例】
「馬鹿な人。私をかばうなんて」
 トリシャは龍田の頬の痣を撫でた。龍田は痛みに呻く。彼女はほっそりした指で彼の前髪をかき分ける。彼は彼女が好きだとはっきり自覚した。

【受け身を使う例】
「馬鹿な人。私をかばうなんて」
 トリシャに頬の痣を撫でられて、龍田は痛みに呻く。ほっそりした指で前髪をかき分けられる。(龍田は)彼女が好きだとはっきり自覚した。

すべて能動の場合、主語が短いスパンで変わり、少し読みづらい。
一方受身の文章は(動作主がトリシャで)主語がずっと龍田。龍田に肩入れした文です。想像する脳内映像も変わってきます。

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